藤本青果
Net-Working パーソン to パーソン

(Vol.006)
『甲虫王者ムシキング』 総合プロデューサー
植村比呂志さんインタビュー



 編集部では定期的に読者の皆様から「取材してほしいテーマ」をアンケートでうかがっています。今回、取材させていただいた『甲虫王者ムシキング』は、昨年、実施したアンケートの「子供向けに取材してほしい」部門の第一位を獲得している人気ゲームです。

  ムシキングを一言で表せば、対決型のアーケード・ゲーム。1回のプレイが100円。お金を投入すると、「ムシカード」、「わざカード」いずれか1枚が払い 戻されます。プレイヤーがそのカードをスキャンすることで、画面上に「虫」が登場。世界中の甲虫(つまり、カブトムシやクワガタ)が、じゃんけんの原理を 応用したルールによって、ぶつかり合い、勝敗を決める、というゲームです。

  ただ今、コレが小学生の男の子を中心に大々ブレイク中。ゲームセンターで見かける大行列の先には、ムシキングあり……と言っても過言ではない人気っぷりな のです。昨年11月には、カードの出荷枚数が1億枚を突破。春にはテレビアニメの放送が開始され、夏には家庭用ゲームソフトが発売されるなど、話題が尽き ないムシキング。その人気の秘密とは?

 今回は、ご多忙ななか、ムシキングの生みの親ともいうべきムシキングチーム代表、潟Zガの植村比呂志さんにお話をうかがうことが出来ました! 


崖っぷちから生まれた?! ムシキング誕生前夜

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植村さんは、熱い人なのだ!

Q:さっそくですが、ムシキングが誕生した経緯を教えてください。

植村さん●じっ くりお話すると2時間くらいになってしまうので、今日は短めに(笑)。ずばり、リストラ寸前だったんですね、僕たちのチームや部署が。僕はもともと、ゲー ム機ではなく、アトラクション色の強いソフトウェアを開発していたんです。東京ジョイポリスといったテーマパークに置かれるファミリー向けの製品ですね。 そのなかには、「ヴァーチャル水族館」や「デジタル昆虫図鑑」というものがありました。

Q:それらは、どんなアトラクションだったんですか?

植村さん●CG (コンピュータ・グラフィック)で魚や虫を再現して見せる、というものです。とはいえ、単なるCG映像では、見た目の点で、本物に負けてしまうので、タッ チセンサーで反応するような仕組みにしました。例えば、子どもたちが画面上のCGイカに触れると、驚いたイカは墨を吐いて逃げていく。ハリセンボンに触る と、怒ってふくれるとか…。そうしたリアクションを見せることで、子供たちに生物の生態を楽しみながら知ってもらいたかった。

 ただ、それだけで100円、200円というようなお金はもらえませんよね。テーマパークに来てもらうための、楽しみのひとつではあるけれど、利益を上げるものではありませんでした。

Q:ところが、状況が変わったと?

植村さん●当 社は、もともと僕たちが開発するような「アミューズメント施設ビジネス」と、家庭用ゲーム機を中心にした「コンシューマ・ビジネス」の2本柱で、収益を獲 得しています。で、5年位前ですね。「ドリームキャスト」という家庭用ハードウェアに社運をかけた時期がありました。ご存知の通り、今は販売されていない のですが。「今後、アミューズメント施設ビジネスは伸びていかないだろう。だから、コンシューマ・ビジネスに集中する」という判断が経営陣から下されたわ けです。

 もちろん、その時点で、僕のチームが家庭用 ゲーム機に出来ることはなくって、会社からも「解散命令」が出たんです。とはいえ、その場で「はい、じゃあ解散」と言っても意味がないので、2年間の猶予 が与えられ、「当時の経営方針」に役立つような開発チームに変わるよう指示されました。

Q:どんなお気持ちでしたか?

植村さん●途 方に暮れました(笑)。一般のお客様向けのアトラクションを作っていたわけですから、いきなりゲームソフトを作るというのも無理。解散は決定していたの で、退職や部署異動など、徐々に仲間たちも去ってしまう。僕たち、開発チームというのは、「モノを作る」という大きな希望を持って、働いているんです。つ まり、部署異動によって、モノ作りが出来なくなる、というのは、正直クビにも等しいわけです。

 その当時、僕は7人チームのリーダーでした。彼らが、現在のムシキング・チームの原型なんですが。「リーダーとして、この7人だけには、希望通りの仕事をさせてあげたい」という願いから、そのためには、どうしたらいいか考えました。


なぜ、虫なのか? ムシキング誕生秘話

Q:そもそも、虫が主人公になったのは、なぜですか?

植村さん●我々の手元に、たくさんの虫がいたからです。先ほど話した「ヴァーチャル水族館」「デジタル昆虫図鑑」の開発過程で、CGで作られた魚と虫が素材としてあったわけです。会社に貢献しつつ、このチームが生き残るにはどうしたらいいか。その結果がムシキングなんです。

  ただ、もともとゲーム用に作った素材ではない。どうしよう?と悩んでいたときに、「デジタル昆虫図鑑」の中に、カブトムシが相撲ごっこをするシーンがあっ たことを思い出しました。実は、コレが当時から子どもたちの間ですごく好評だったんですね。これなら、ゲームに出来るかなと!

Q:魚はいかがでした?

植村さん●魚はほとんど諦めてましたね。例えば「ウオカード・マグロ」をスキャンして、“おれ、マグロ!”って言われても、戦いようがないですよ(笑)。

 ですから、「虫を主人公に選んだ」というより、「虫と魚しか選択肢がなかった」というほうが正しいですね。もう、どっちか選ぶしかないぞって。


 
  親の目線が、ヒットの理由だった!
 
Q:いよいよ『ムシキング』が始動するわけですね。

植村さん●最 初から、ターゲットは、小学校低学年生でした。とはいえ「子ども向けだから、この程度でいいだろう…」という発想はまったく出来なかった。なにしろ、生き 残りが懸かっていますからね。僕自身、すでに異動部署まで決まっていたので、猶予が過ぎれば、異動せざるを得ない。「これを成功させなければ…」と毎日の ように、メンバーに声をかけました。

 もちろん、チーム内にも危機感はありましたから、誰一人、手を抜くことなく、全力で取り組みました。開発期間は、1年半。ほかの子供向け製品に比べて、かなり長い期間です。


Q:どのような視点で、開発が進められましたか?

植村さん●僕 自身、二人の子どもがいるので、「親として、子どもに何をさせてあげたいか」という発想に立ちました。ターゲットとなる小学1、2年生といえば、月々のお 小遣いは100〜200円くらいじゃないでしょうか。当然、自分のお小遣いをゲームに注ぎこめることは出来ません。ムシキングは1回100円ですからね。

 子どもたちを楽しませ、ビジネスとしても成立させる……となれば、保護者の方が「お金を払ってもいい」と思えるゲームでなければなりません。だから、あえてキャラクター化せずに、本物の虫に忠実な設定なんです。

 虫たちの性格付けも、慎重に行っています。実際に、気の荒い虫をアタックタイプに、普段から争いを好まない虫をディフェンスタイプに……というように、やはり本物に忠実なんですよ。

Q:大人を納得させることができた、ということですね。

植村さん●例えば、「宇宙昆虫」の様なゲームでは、絶対にヒットしなかったでしょうね。親御さんに嫌われなかった、というのが重要なことです。結果的に、この点がヒットのポイントだと考えています。

 ただ、先ほどお話した通り、僕らがそこまで計算していたかといえば……崖っぷちに立たされて「魚? いや、魚は無理、じゃあ虫!」という(笑)。

Q:100円払うと、カードが1枚もらえる、というのもいいですよね。

植村さん●そ うなんです。お家に持って帰ってからも、じっくり眺めて楽しめる。出てくるカードには、生息地などのデータもしっかり入っていますから、親としてもいい じゃないですか。子供たちは好きな虫のことは、すぐに全部覚えますからね。自分の住所も言えない子どもが「ヘルクレスって、ブラジルで生まれたんだ よ!」って。こっちが「ブラジルって、どこにあるの?」って聞くと「知らない」って答えるんですけどね。

  ムシカードに書かれていることって、誰が考えたものでもない、現実(リアル)なものなんですよ。つまり、3年後にグラントシロカブトが時代遅れになる、と いうことはありえない。50年でも100年後でも、きっと、この虫は存在するでしょう。これが、人間が考えたキャラクターとは違う、真実の重みだと思いま す。


テーマは「持続すること」

Q:2003年1月から設置がスタートしました。人気はどのように広がりましたか?

植村さん●カードの出荷枚数をグラフで見ると、ほぼ真っ直ぐ、右45度のラインを描くんです。ですから、一気に火がついた、というのではなく、徐々に広がっていったというべきでしょう。

  ただ途中、何度も危機的状況があって、そのたびに「大会をやらなければマズイ」「キャンペーンをやらないとマズイ」「新しいカードを出さないとマズイ」 と、開発チーム内から意見が出ます。失敗したら、あとは無い……という危機感ですね。だから、常に自分たち主導で動いています。

Q:具体的には、どんな打開策が取られましたか?

植村さん●例 えば、余ったカード30枚と引き換えに、ムシキングオリジナルグッズをプレゼントするキャンペーンを行いました。ご存知のように、ムシキングはカードに よって、プレイヤーの強さが決定します。子どもたちは、当然「強いカード」が欲しいんですよ。でも、そういうカードはなかなか出ない。出てくるカードは選 べませんしね。すると、手元には同じカードが何枚か重複してしまう。で、その重複カードをそのままにしておくのではなく、子供たちの「努力の証」として、 何かプレゼントに変えてあげたいと考えたんです。

 もちろん、こうしたキャンペーンを企画するには、お金が必要です。予算を獲得するために、自分たちが社内を説得しなくてはなりませんでした。


 

ただ今、一押しのカードがコレ
「1億枚突破記念限定デザイン」のうちの1枚
アダー・コレクション/オオクワガタだぁ

Q:新しい企画を始めるタイミングは、何を目安に?


植村さん●毎週、お店に行くんです。現場で、一緒にゲームをしたり、意見を聞いたりします。行列に並べば、前後のお客さんの声が聞こえてきますしね。ちょっとでも「飽き」が感じられたら、すぐにチームと検討を開始するんです。スピード重視で(笑)。

 アーケードの場合は、「こりゃ、マズイ!」という状況になると、早めに手を打てば、3ヶ月前後でソフト交換できますから。これが家庭用ゲーム機だと、「こりゃ、マズイ!」と思ったときには、結果は出てますから、ノーチャンスなわけです。

 そんなわけで、平日はゲームを作って、休日はゲームをやりに行くという生活が続いています(笑)。

Q:そうした熱意が、人気を持続させているんですね。

植村さん●持続こそ重要です! 一般的に、この手のビジネスはアニメと連動して、一気にオモチャを売り切って、おしまい。というのが主流ですが、僕らにそういう発想はなかった。ムシキングの人気が途絶えれば、僕らのチームは解散でしたからね。

  その想いは、現在も変わりませんし、常に持続させることを念頭に置いています。今では、子どもたちが、びっくりするような枚数のカードを持っていてくれ る。もちろん、欲しいときに欲しいだけ、買ってもらえるものではない。あの枚数は、子どもたちの情熱と、保護者の方の理解の結晶なんですね。

  ですから、ある日突然、「もう、ムシキングはおしまい!」なんてことを言えば、熱心なファンを裏切ることになってしまいます。僕たちは、そんなこと絶対に 出来ません。サラリーマンですから、利益も考えますが、内心は会社とは関係なく、ムシキングを5年、10年、20年と続けることこそが、私たちの使命だと 思っています!!


白熱の公式大会/ムシキング・ジョニーの過去?!


Q:ムシキングといえば、全国各地で行われる公式大会も話題ですね。

植村さん●設置から2年という期間で、16,000回以上の公式大会が開催されました。ちょっと、ありえない数字ですよね(笑)。

Q:そして、大会といえば、子どもたちに大人気なのが、ムシキング・ジョニーさん!

植村さん●設 置当初、僕らはまだ、開発のことで頭がいっぱいで、大会を行う実行力は無かったんです。で、ジョニー(注:ムシキング・チームの西山さん)は、もともとセ ガの社員ではなく、某ライバル会社の社員として、ゲームセンターの店長をしていたんです。すごい話でしょ? 彼こそ、日本で最初のムシキングゲーム大会を 開催した人物。ムシキングを使って、自分のお店を復活させようとしていたんですね。ちなみに、彼が店長の時に、1年と数週間で「祝ムシキング大会1周年企 画」「第100回ムシキング大会」「第1回チャンピオンチャレンジステージ(グレイテストチャンピオン限定)大会」を開催しました。

 
  みんなの憧れ!
ムシキング・ジョニー
笑顔がまぶしい!!
 



Q:えっ! ジョニーさんにそんな過去が?

植村さん●セガにも、ゲームセンターなどアミューズメント施設ビジネスを展開する「セガ アミューズメント」という会社があります。ところが、ターゲットの違いから、子ども向けのムシキングは当初、あまり設置されなかったんです。

 ところが、ライバル会社直営のゲームセンターで、ムシキングの大会が開催されている。しかも、出荷開始2ヶ月目(03年3月)にです。驚きつつ、チーム全員で様子を見に行くと、そこにいたのが、西山という人物。

  彼は開口一番、「大会しなくちゃ、ダメだよ! ゲームだけで人気を維持するのは、絶対に無理だ。だから、お店側で子どもたちに新しい目標を持たせな きゃ!!」と熱い想いをぶつけてくれたんです。もちろん、僕らは大感動。何とか、ムシキング・チームに加わって欲しいと思いましたが、相手がライバル会社 ですから、そう簡単にはいきません。それでも、こちらから誠心誠意お願いさせていただき、西山自身も会社を説得してくれた。こうして、晴れて、西山がチー ムに参加。ムシキング・ジョニーが誕生したのです!

 全国津々浦々、「大会を盛りあげて〜」と誰かが助けを求めれば、そこにジョニーが行くんです。彼に土日はありません。

Q:やはり、公式大会の雰囲気は、普段とは違いますよね?

植村さん●も ちろん! 普段とは緊張感が違います。負けるために出場する子どもなんていないし、何が何でも勝ちたい。考えてみると、小学校低学年が、これほどの真剣勝 負を体験するってこと、ないですよね。ところが、この大会では、それを体験せざるを得ない。だから、子どもは逞しくなりますよ! 負けると、泣きそうな顔 を親御さんに向ける、なんてシーンはしょっちゅうですし。

Q:公式大会を開催する上で、気を配っている点はありますか?

植村さん●正 々堂々、勝負してもらうため、不正が起こらないよう、ルールを徹底させています。いつもジョニーはこんなことを言っています。「大会の目的は、勝つことで はない。仲間を増やすことなんだ」って。ですから、対戦前は必ず、プレイヤー同士が握手をします。そうでなければ、ムシキングの大会ではないんです。

  また、こちら側から率先して「ぜひ大会をやってください!」と、ムシキングの設置店舗さんにお願いしています。こちらで景品を用意したり、進行のアドバイ スをしたりと、なるべく営業の負担にならないようにしています。それが、ムシキングの人気を持続させる重要な要素なんです。


さらに広がる! ムシキング・ワールド

Q:小学館の雑誌を通じた情報提供について教えてください。

植村さん●も ともとムシキングを最初に取り上げてもらったのが、小学館の学年誌なのですが、「今度の新カードはこれだ」という情報に留まらないのが、学年誌のイイとこ ろです。小学館さんには、虫に詳しい編集者がたくさんいるので、「この虫には、こんな特徴やエピソードがあるんだよ」というふうに記事に深みが増すんで す。ゲームが入り口だから、押し付けることなく、子どもの好奇心を満たすことができます。

 
スタッフと打ち合わせ(?)をする植村さん
次なるムシキングの展開は?
   

Q:そして、いよいよ、家庭用ゲームソフト化が決定しましたね!
植村さん●ゲームボーイアドバンスのソフトとして、今夏発売を目指し、制作が急ピッチで進んでいます。コンシューマ・ビジネスは競争が激しく、利益を上げるのが難しいのですが、子どもたちの要望は無視できませんでした。

  ムシキングは、お店に行って、初めてプレイできるゲームです。逆にいえば、入院していて外出出来ない、家が自営業で土日に出かけられないなど、お店になか なか行けない子どもさんもたくさんいます。そう考えると、絶対にコンシューマソフト化するべきだと思いました。アーケード・ゲームとして、より多くの場所 に設置してもらうのもひとつの目標ですが、それ以外の楽しみ方を提示することも必要です。

Q:どんなゲームになりますか?

植村さん●タイトルは「甲虫王者ムシキング 〜グレイテストチャンピオンへの道〜」です。ゲーム機自体やゲームセンターが、そのまま登場して、ムシキングのプレイを体験できるんですね。大会に参加してグレイテストチャンピオンになろう!という内容です。

 実在する伝説のプレイヤー(大会参加者)の特徴を捉えたキャラクターも、ゲームの中に登場します。必殺技のタイミングやカスタマイズを考えながらプレイできる「大会攻略ソフト」と言っていいんじゃないでしょうか。

 そして、「自信がついたら、さぁ、本物の大会に出てみよう!」というわけです。実際の公式大会との連動が、最大のポイントです。

Q:公式サイトには、海外進出についても紹介されていますね。

植村さん●ま ずは台湾ですね。台湾にある海外グループ企業「SEGA AMUSEMENT TAIWAN」を拠点に、地固めをしています。やはり、ただ置けばいいというビジネスではないので、いろんな販売促進によって、相乗効果を上げていこう と。子どもたちのクチコミのおかげで、注目度も高くなっています。

 アジアは、日本の文化(ゲームや漫画)も比較的すんなり浸透するエリアなので、勝算はあると思いますよ。


“最後まで、子どもたちを裏切らない!”

Q:子どもたちからは、どんな質問が多いですか?

植村さん●質問、というより要望ですね。とにかく「金カードをもっと入れて!」という要望に尽きます。金カードは、とても強いパワーを持っていますから、その分、レアなんです。子どもたちの気持ちは、とても分かります。

  しかし、金カードが出る確率を変える予定はありません。なぜか? 今まで金カードを手に入れるために、頑張ってくれた子どもたちを裏切らないためです。も しも「みんなの要望が高いから、金カードの確率を上げたよ」なんて言ったら、がんばって金カードを手に入れてくれた子どもたちを失望させるだけですから ね。

 

お忙しいなか、本当に
ありがとうございました!

   

Q:“裏切らない”というのが、今日のキーワードだったように思います。実は内心、かなりジーンときているんですが…。

植村さん●保 護者の方々からも、暖かいお手紙をたくさんいただいています。「子どもが虫に興味を持ち始めた」「命の大切さを学んだ」など内容は様々ですが、ゲームを作 り続けて、16年……まさか、お母さんたちから「ありがとうございました」と言われるとは、夢にも思いませんでした。本当は私たちの方が救ってもらったん です。ですから、こちらこそ「ありがとうございます」と言いたい気持ちです。

 子どもたちには、こう伝えたいですね……「ムシキングは5年後も、10年後も、君たちが親になったときも続けていく。だから、安心して遊んでくれ」と。



甲虫王者ムシキング公式サイト


●取材を終えて・・・

 植村さんの熱意とパワーに圧倒される1時間でした。

  もちろん、ムシキングの大ヒットは、さまざまな要因が重なった結果だと言えます。特に「カードを集める」「勝負に勝つ」という男の子が好きな要素が、見事 にマッチングしている点は、非常に魅力的です。しかし、緻密なマーケティングだけでは、大ヒットは生まれないのだ、と今回の取材で改めて実感しました。人 を動かすのは、やはり人なんだなと。

  常に「相手」のことを考える。これが植村さんの信条ではないでしょうか。「お客様」である子どもたちやその保護者はもちろん、一緒に働く「仲間」にも熱い 想いを注いでいらっしゃるように思えました。そもそも「チームのメンバーにだけは、思い通りの仕事をさせたい」という熱意が、ムシキング誕生の原動力に なっています。そして、最後まで諦めず、全力を尽くす。これもヒットの理由です。ムシキングの勝負がそうであるように、「崖っぷちの踏ん張り」が肝心とい うわけです。

 最後は、繰り返し語られた「裏切らない」という言葉。だからこそ、子どもたちは、安心してムシキングに夢中になれるのです。こうした信頼関係に、とても感銘を受けました。


 

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