藤本青果
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(Vol.017)

遂にヴェールを脱ぐウェブCF界の革命児!! オーダームービー・ドットコムの監督にして米国アカデミー賞公認映画祭ノミネート監督、映像作家・小野寺昭憲氏にインタビュー!

映画が生まれ、テレビが生まれた20世紀の映像。 そして、遂にインターネットに進出した21世紀の映像。まさに映像新世紀の幕開けとも言える昨今。 何と今回は、映像とITの融合を象徴する時代の寵児にして、オーダームービー・ドットコムの映像コンテンツの監督・脚本・撮影・編集・出演まで手掛ける 総合演出の頂点、小野寺昭憲監督にお話を伺います。

「監督はまだか」「監督を出せ」と、札幌BB編集部には連日電話やFAXの問い合わせの嵐! 全国の読者の皆様のご期待に応えるべく、私たち札幌BB編集部員は何度も何度も、 札幌BB編集長でありオーダームービー・ドットコムのプロデューサーである吉田隊長に頼み込みました。 しかしその度に「監督は多忙の為インタビューには応えられない」と突っぱねられる始末。 そして今回、私たち札幌BB編集部員のストライキ寸前のところで、遂に吉田隊長からGOサインが出たのです! まさに奇跡! 本邦初公開! 小野寺昭憲監督独占10,000字インタビュー記事ノーカット全文掲載!

Q:初めまして、小野寺監督。札幌BB編集部です。遂にお会いすることが出来ました。

小野寺氏●ふっふっふ、別に隠れてたわけじゃないですよ。

Q:ではまず最初に、映像作家(監督)になられたきっかけをお訊きしたいのですが。

小野寺氏●自分の場合は、最初から映像作家になりたいという意志はありませんでした。最初は漫画家になりたかったんです。

Q:えっ、そうなんですか?

小野寺氏●ええ。幼少期から絵本が好きで、よく読んでいました。字が読めるようになってからは漫画ばかり読んでいましたね。 小学校の放課後なんかは、古本屋に行っては何時間も時を忘れて立ち読みしていた記憶があります。 中でも手塚治虫の作品が好きで、よく読みました。今でも本棚には全シリーズ置いてあります。

Q:なるほど。

小野寺氏●それでそのうち読んでいるだけでは我慢できなくなってくるんですね、不思議と。・・・じゃあ、書こうと。 プロの漫画家のようにケント紙にGペンで描くようなレベルではないので、大学ノートに鉛筆で、定規も使わずにコマ割りして、ひたすら描きました。 小学校高学年から中学校までは、授業中に漫画を描いていたことしか覚えていません。 先生に見つからないように描くのがまた楽しくてね、教科書の下にノートを隠して描いて。早弁してる奴みたいに。

Q:(笑)

小野寺氏●ただ描くだけじゃ勿体無いからって、それを今度はクラス中の友達に回すんですね。回覧板みたいに。これも授業中に。

Q:或る意味、問題児ですね(笑)

小野寺氏●そうですね(笑)。回し読みしてもらって、喜んでもらって、調子に乗ってまた描く。描いては回す。 今から思えば、自分の作品を他人様に見てもらって喜んでもらう、その行為自体は昔から変わりないんです。 その快感が忘れられないんじゃないですかね。


創作の原点、小学校時代に描いた漫画

Q:なるほど。自分の漫画を読者に読んでもらって喜ばせた少年時代。 そして現在は、自分の映像作品を観客に観てもらって喜ばせているという、一緒ですね。

小野寺氏●源流はそこなんですね。とにかく他人に自分の表現したものを見て欲しいと。 表現者、いわゆるアーティストの大半は、そんな動機だと思います。俺はここにいるんだと、自己存在の証明、アイデンティティの確立を作品で表現する。

Q:小野寺監督の場合、そのきっかけは漫画だったんですね。

小野寺氏●そうですね。しかし、高校に入ってからは漫画を描くことは辞め、小説を書き始めました。 文学というものに傾倒し始めたんですね。

Q:漫画家志望から作家志望に。

小野寺氏●そうです。三島由紀夫を筆頭に、ドストエフスキー、トルストイ、ヘミングウェイ、ポオ、ボオドレエル、 とにかく名立たる文学を片っ端から読み耽り、習作を書き続けました。

Q:絵本に始まり、漫画に移行し、そして小説に。

小野寺氏●変遷はあるんですが、変わってないのが授業中に書いて友達に回すという(笑)。

Q:やっぱり問題児ですね(笑)

小野寺氏●先生の話なんてあんまり聞いてないですからね。授業より面白いものがあるんだから仕方が無い。

Q:ははは(笑)。

小野寺氏●先ほど、絵本、漫画、小説という変遷がありましたが、最終的にこの先は脚本に行き着きます。

Q:遂に、映像化を前提とした創作活動が始まるんですね。

小野寺氏●絵本、漫画、小説、それぞれジャンルは違えど全部に共通しているのは“物語”なんです。ドラマ。 では今度は本当にそれを“ドラマ”にしてしまおうと。ちょうど高校の放送部にビデオカメラと編集機材があって。

Q:まさに環境は最高(笑)。

小野寺氏●まさに。今でもやっているんですが、全国の高校の放送部が技術を競うNHK杯全国放送コンテストっていう大会があって、 それに創作ドラマ部門というのがあったんです。顧問の先生が「小野寺、そこに出してみないか」って。 それで脚本を書き始めたんですね。映画の創り方なんて習ったこともなかったけども、ここで過去の経験が生きてくる。

Q:漫画と小説ですね?

小野寺氏●そう。漫画は映画に最も近い二次元メディアです。漫画のコマ割りは映画のカット割りに通じ、絵コンテに等しい。 小説のセリフはそのまま、情景描写はト書きに通じます。思ったより脚本を書くのは簡単でしたね。 ストーリーさえ組み立ててしまえば、絵も適当でいいし、ト書きも小説よりは単純でいい。 誰だったか有名な映画監督が、「脚本は最低の文学である」と言っていたけども、実際、脚本の文学的価値は低いからね。

Q:なるほど、その脚本をして始めて映像作品を監督したと。

小野寺氏●そうです。脚本、監督、主演でね。で、それがたまたま入賞してしまった。

Q:そうなんですか?

小野寺氏●それで「俺、いけるんじゃねぇか」と。ちょうど同時に出場した朗読部門では最優秀賞ももらって。 役者としても「いけるんじゃねぇか」と。

Q:調子に乗ってしまった(笑)。

小野寺氏●調子に乗ってしまったね(笑)。

Q:でもそれがあって今がある。

小野寺氏●人間、或る程度の勘違いは必要だってことです(笑)。 太宰治みたいなマイナス思考の人間もいるけど、三島由紀夫みたいに天才を自覚した人間もいるんだからね。

Q:なるほど。漫画家、作家と来て、ここで目標は映画監督に定まったわけでしょうか?

小野寺氏●そうですね。ご存知の通り、映画は総合芸術です。演劇、音楽、文学、照明、写真、絵画、 あらゆる芸術の分野の統合された究極の総合芸術であると思います。 私が小さい頃からやってきたことは、全てこの映画に行き着く布石だったと、今ではそう確信しています。

Q:映画監督を目指したのは必然であったと。

小野寺氏●そうですね。全ての表現手段を包含しているんですから。八得ナイフよろしく、これだけあれば充分です。

Q:それで、高校を出てからは大阪芸術大学に。

小野寺氏●映像学科ですね。そこで本格的に映画制作と演技演出について学びました。

Q:それからはもう、映画や映像一筋ですか?

小野寺氏●それからはもう、一筋ですね。脚本を書いて自己資本で製作し、 それを映画祭に出品するという活動が今現在まで続いています。

Q:なるほど。それからのご活躍は存じ上げております。 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭や東京国際ファンタスティック映画祭といった日本を代表する国際映画祭、 そして今年は応募総数2700本以上の作品の中から、アジア最大の国際短編映画際にして米国アカデミー賞公認映画祭のショートショートフィルムフェスティバルにもノミネートされていらっしゃいますね?

小野寺氏●非常に光栄です。国際的な映画の祭典に認めて頂けたことは、これからの作品創りに対して大きな励みになりますね。


自宅に保存されている16mmフィルムの監督作品

Q:そんな中で、札幌BBのボスである吉田隊長(アイ・ティ・プロデュース株式会社の吉田社長) との出会いが訪れたわけですね?

小野寺氏●その通りです。以前から吉田プロデューサーのことは知っていました。

Q:知っていたといいますと?

小野寺氏●10年くらい前でしょうかね。私がアルバイトで貯めたお金で中古のパソコンを購入してインターネットを始めた頃です。唯一気に入っていた映画のサイトがあったんですね。今はないのですが、東宝グループの北海道地区エンタテイメントというサイトです。吉田さんは、このサイトをプロデュースしていた方なんです。 その他に、糸井重里先生が、ファンだったという「名称未設定」という笑わずにいられない実験的なサイトもプロデュースしていたんです。

Q:あぁ先輩スタッフから聞いてます。北海道東宝の社長が東宝本社から許可を取り付け2年半くらい試験的に立ち上げていた伝説のサイトですね。

小野寺氏●今思えば、あんなにフレンドでフランクなサイトは他に無かったですね。いろんな質問やいろんなことを問い合わせてもしっかり返信をくれる。そして、掲示板があったんですよ。後にも先にも大手配給会社の映画サイトではそんなのは見たこともありませんし聞いたこともありません。(笑) いろんなことを先駆けてやっていろいろいとノウハウを吸収していた時期だったのだと思います。サイトもいろんなデザインでやっていたり、いろんな企画をしていて、いま思ってもとっても楽しかったですよ。私は地方なんですが、それでもチケット以外のプレゼントは、何度かあたりましたからね。とってもほしかったアルパチーノの旧作「スカーフェイス」の パンフレットを抽選で当たったのを今でも覚えています。また、漫画家の大友先生のセル画も当たったことがありました。映画サイトで、まだプレゼントなど大々的にやっていないころに国内で一番大々的にやっていたのではないでしょうか?インターネットからの応募者だけでの試写会なども札幌にいたら絶対に行きたかったですね。

Q:どこで出会ったの?

小野寺氏●自作映画を作っていて英語の字幕の協力者を通して運命の出会いが・・・。 この時期、ちょうどいろんな意味で壁にぶち当たっていました。それでいて、必死で前向きに謙虚に生きていた時でもあり・・・。脱線してますね。(笑) 吉田さんとは、英語の字幕の協力者を通して飲み屋でお会いすることができて、私が気に入っていた伝説のサイトを手がけていたというのを聞いて また、東京テアトルグループの会社が立ち上げていたあの3ヶ月で12万人の会員を超えたという最強のプレゼントと映画情報サイト「シネマトレジャー」の 生みの親だと聞いて私自身そうとうテンションが高くなってしまい気がついたら、飲んだ勢いで吉田さんに 何か映像とITを融合させたビジネスはないだろうかと 相談を持ちかけたところ、既にやっているけど、キミのいうところの切り口は面白いと言ってくれて、 のせられたのか吉田さんは快く「やろう!」と一言。それから全てが動き始めました。 映像制作とストリーミング配信サービス、オーダームービー・ドットコムの誕生です。

Q:今までに無かったスタイルだとお聞きしましたが。

小野寺氏●まず誰もが気軽に自分のウェブサイトから映像を発信出来るという新しさ。 もう写真と活字だけのサイトは時代遅れです。ブロードバンドもいよいよ普及し、これからはテレビ同様、映像が情報発信のキーになります。 ネットショップなんかはその最たる例でしょう。活字より写真、写真より映像なんです、訴求性が高いのは。 その点はオーダームービー・ドットコムのプロデューサーでもある吉田社長が常々おっしゃっていることですね。 私に出来ることは、その映像をいかに面白く出来るか、視聴者の意識を釘付けに出来るかです。

Q:なるほど。ITのプロがプロデュースし、映像のプロが製作する。まさに新時代の革命的事業ですね。

小野寺氏●吉田社長と共にシネマ・コマーシャル、略称シネコマを編み出しました。 これはその名の通り、映画とコマーシャルの融合体です。普通のコマーシャルでは面白くない、宣伝だけでは詰まらない。 テレビ番組の合間合間に流れていれば仕方なく観るけども、ウェブの場合は違う。視聴者にクリックしてもらわなければ話にならない。 そこで生み出したのがこのシネコマです。

Q:では、そのシネマ・コマーシャル、シネコマの魅力とは何でしょう?

小野寺氏●映画は皆さん金を払ってまで劇場に足を運びます。しかしCMを観る為に金を払いますか? あなたは。

Q:いいえ。

小野寺氏●その違いです。 金を払ってまで観たいものと、金を払ってまで観たくないものとの違いを埋めるにはどうしたらいいのかを考えると、必然と答えは見えてきす。

Q:映画にコマーシャルの要素を含ませるんですね。

小野寺氏●その通りです。逆は駄目です。 コマーシャルに映画の要素を含ませるのではなく、あくまで映画にコマーシャルの要素を含ませるんですね。 さりげなく、そして大胆に、物語の中で商品をPRすることが出来ます。 どんな話なんだろう、面白そうだなと思わせて、視聴者にクリックしてもらえれば大成功です。 普通にコマーシャルを観るよりは、先入観も解け、素直に物語の世界に入り込むことが出来ますからね。 ストーリーを楽しんでいるうちに、いつの間にやら商品の宣伝も刷り込まれている。 これが映画の魅力を取り入れたシネマ・コマーシャルの最大のメリットです。

Q:なるほど、全く別々のものである映画とコマーシャルの融合によって、新しいジャンルが確立されたということですね。

小野寺氏●そうですね。ドラマ性のあるCMは多々ありますが、CM主体でなくドラマ主体のものは今まで無いですね。

Q:しかも低予算で出来るというメリットが嬉しいですね。

小野寺氏●劇場公開する映画やテレビ放映するCMとは違って、ネット配信のウェブシネマというものは、コストを限りなく抑えることが出来ます。 勿論、予算とクオリティは比例しますがね。

Q:映画とCMの良いとこ取り、しかもコストが安い、言うことなしですね。

小野寺氏●シネコマという新しいジャンルが、より多くのクライアントと視聴者に受け入れられることを願ってやみません。 吉田社長は、超多忙の中、一歩一歩進めてくれてます。

Q:ちなみに小野寺監督は、オーダームービー・ドットコムの監督としてどのようなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?

小野寺氏●通常の映画製作というものは、ディベロップメント(企画)に始まりプリプロダクション(準備)を経てシューティング(撮影)に臨みポストプロダクション(仕上げ)で作品を完成させる運びとなります。 シネコマの場合、まず最初にクライアントからの発注が加わることになります。これが無ければ何も始まりませんからね。 発注があった時点で、まずプロデューサーである吉田社長がプロジェクトを起こし、私はそのプロジェクトを元に企画書を書き、そこから脚本を起こし、撮影をし、編集をします。 プリプロからシューティングまでは監督補佐の真理子と連携し、ポスプロ段階では音楽監督の真柴氏と音響監督の荒木氏と緻密に連絡を取り合いながら、完成まで作品の演出に携わります。

Q:演出だけではないんですね?

小野寺氏●そうですね、現在のオーダームービー・ドットコムは少数精鋭方式ですからね。 私が監督、脚本、撮影、編集、時には出演までやることもあります。 これは実は昔からの私のスタイルでもあるんですが、監督が自らの作家性を貫くには、逆にそっちの方が都合がいいんですね。 真理子も真柴氏も荒木氏も、映像作家としての私を信じて協力して下さる素晴らしいアーティストの方々です。 そもそも総合芸術である映画というものは、多くの芸術家の血と汗と知性によって成し得るものですから。 インディーズ時代からずっと一緒に何年も培ってきたチームワークが、このオーダームービー・ドットコムにも反映されていると思います。 また、少人数であることによる人件費など諸経費の削減が、クライアント側にとってはコストダウンにも繋がっています。

Q:なるほど。 インディーズ時代からずっと今のメンバーだということですが、今でもインディペンデント映画の製作は続けてらっしゃるのですか?

小野寺氏●ええ、続けてますね。映像作家というより、元々は映画監督志望ですからね。 前々から言われていますが、日本の映画産業というものは本場の欧米に比べてまだまだ劣っているんです。 国の映画に対するバックアップがなっていない。 ここ数年韓国映画市場が国内で爆発的に伸びてきていますが、それも韓国政府のバックアップがあるからです。 日本にも素晴らしい監督が沢山いるはずなのに、いま彼らが満足に映画を創れるかと言ったらそうではない。 純粋に映画監督業だけで飯を食えている監督は一握りに過ぎません。 テレビに関わったり、専門学校の講師をやったり、雑誌に記事を載せたり、副業を持たねば食えない現状がある。 これは日本の映画産業と日本政府の方針自体に根本的な問題があるんです。我々はそれを変えていかなくちゃならない。 また、勝ち取っていきたいです。長くなりそうなのでここらで打ち切りますが、私もこの日本で、映画監督業だけで食っていけるとは思っていません。 でもね、映画が好きなんですよ。だからこそ、身銭を切ってでも映画を創る価値はある。 商業映画とかインディペンデント映画とか、そんな区切りはどうだっていいんです。創りたいから創る。創りたいものを創る。 そして、それに賛同してくれる仲間がいる。それだけでいいんです。

Q:ではオーダームービー・ドットコムの映像作家としての小野寺監督と、映画監督としての小野寺監督、 そのスタンスの違いは何でしょうか?

小野寺氏●オーダームービー・ドットコムはクライアントありきですから。 クライアントの希望を第一に、視聴者、つまり購買層を刺激する訴求性の高い作品が求められます。 決して自己満足ではならない。それでいて、面白いものを、オリジナリティとバイラル効果のあるものを創らねばならない。 評価はクライアントの満足度で決まります。 我々オーダームービー・ドットコムは、その名の通り、オーダーするムービーを商品にしているんですからね、 お客さんに気に入ってもらえなければ意味がありません。 なので必然的に、出来る限りクライアントの希望を最優先にして製作するわけです。 それでも私がやるからには、陳腐なテレビドラマみたいなのにはしないつもりです。映画とテレビの違いは弁えねばなりません。 あくまで、オーダー“ムービー”ですから。テレビと同じ事をネットでやっても仕方ないと思うんですね。 せっかく何の規制も無いネットの世界なんですから。それなら、別に私が監督じゃなくてもいいという話になりますよね。 アメリカのバイラルCFなんて、かなり過激でインパクトのある面白いものが多いですよ。ここでも日本はまだまだ遅れているんです。 どっかの神経質なクレーマーが苦情を寄こす恐れがあるので(笑)まだあんまり大々的にはやれませんが、 そこまで行かなくとも、何かしら従来の既成概念を打ち破る斬新さは求めていきたいと思っています。 同じ事をやっても仕様もないですからね。インディペンデント映画の場合は、純粋に私が描きたいものを描くだけです。 誰に何を言われようと知ったこっちゃありません。要はね、お金を出してる人が一番偉いんですから。

Q:完全に割り切ってらっしゃるんですか?

小野寺氏●完全に割り切らないと、オーダーが来ませんよ(笑)。お前にタダで映画撮らせるわけじゃないって。

Q:ははは(笑)。では小野寺監督としては二足のワラジ状態ですね。

小野寺氏●インディペンデント映画については、これからもガンガン創り続けます。 発表は主に国内外の映画祭になると思いますが、そこで受賞することによって、必然的にオーダームービー・ドットコムにもハクが付いてくるわけです。 例えば私がアカデミー賞を受賞してご覧なさいよ、あなた。どうなりますか?

Q:オーダームービー・ドットコムが凄いことになりますね。

小野寺氏●そういうことです。今に見ていて下さい。オーダーの金額、跳ね上がりますよ。

Q:駄目じゃないですか(笑)。 「あなたのウェブサイトに手軽に映像が置ける」っていうのが売りなのに(笑)。

小野寺氏●はっはっは(笑)。口に税金は掛かりませんからね、言うだけ言わしてあげて下さい。

Q:はっはっは(笑)。

小野寺氏●はっはっは(笑)。

Q:ははは・・・・・・・。

小野寺氏●で、何でしたっけ?

Q:すいません(笑)。 オーダームービー・ドットコムの概要についてはお聞きしましたので、次はその作品についてお聞きしたいんです。

小野寺氏●短編映画風のシネコマから普通の15秒程度のコマーシャル、商品映像から販促用ビデオまで、色々あります。

Q:現在、札幌BBのトップページにもバナーを貼ってるんですが、オーダーチーズ・ドットコムの販売する 「究極のチーズケーキ@パルミ」のCFがかなり好評です。http://www.itproduce.jp/shortfilm/parumi_500k.wvx

小野寺氏●有難うございます。あのCFに関しては、吉田プロデューサーと入念に打合せをして、最初色々と構成を考えました。 シネコマと言うよりテレビCMタイプですね。ちょうど30秒です。

Q:内容と構成についてお聞かせ下さい。

小野寺氏●まず私を含めた一般客は、他のチーズケーキに比べて圧倒的に高価であることに疑問を抱きます。 果たして本当にその値段に適っているのかと。加えてホームページ上、これでもかと羅列された「究極」の文字。果たして本当に究極なのかと。 その疑問を可能な限り凝縮して投影したのがモデルの発する冒頭のセリフです。「究極キュウキョクって言うけど一体何がそんなに究極なのかしら?」。 これは独り言のように聞こえて、実は全視聴者の疑問を代弁するものなんです。 更に映像効果として見れば、いきなりセリフが飛び出してくることで、画面に注視せざるを得なくなります。 音楽で言えば、イントロ無しで急に歌詞が始まるような構成です。

Q:なるほど。確かにそうですね。

小野寺氏●次に卒倒するモデルですが、バイラル効果的な観点から見れば、 「チーズケーキ食べました、はい非常に美味しいです」なんて流れは非常に陳腐です。グルメ番組じゃないんです。 当たり前のことを当たり前な言葉で飾っても無意味で、映像的には何の面白味もありません。美味しくて当たり前。 それを「美味しい」の一言で片付けるのは表現者として失格です。美味しい、だから何なのか。究極ならば、その上を行かねばならんでしょう。 すなわち、失神です。美味すぎて失神した人を私は知りませんが、“究極”という看板を掲げている以上、人間も究極の精神状態に陥らねばならない。 また心理学的な観点から見ても、例えば人間は本当に恐怖した時は「キャー」とか声を発しない、発せないものなんです。 究極の状況に陥った人間は、もはや言葉すら口にすることは出来ず、ただただ絶句。絶句するのみ。 それらを踏まえても、この卒倒シーンは“究極”を体言する最も効果的な演出手段と言えるでしょうね。 映像的には、連続する物語の流れが一瞬ピタッと静止する瞬間を挿入することにより、そして音楽までも突如として分断されることにより、視聴者の注意を一気に引き付ける効果、そして何より第一に意外性があります。 何故モデルは卒倒したのか。その理由は次のナレーションで明らかになります。

Q:「腰砕けになる味。究極のチーズケーキ@パルミ」ですね?

小野寺氏●そう。そしてラスト、いわゆる“オチ”を付けることにより映像を一個の作品として完結させます。 オチの無い話ほど後味の悪いものはないですからね。ここでは笛付きケトルがピーッと鳴ってモデルをフレームアウトさせる手法を用いています。 注目すべきはその直前です。それまで映像の中の世界だけで動いていたモデルが、 「半端じゃないわね」というセリフの時だけはカメラ目線になるんですが、これは非常に重要な意味を持っています。 最初は、言わばモデルの登場するキッチンの光景を、視聴者が第三者的な位置である現実世界から覗き見ていることになる。 それが突然、モデルがカメラ目線に、視聴者と視線を合わせることにより、視聴者のいる現実世界とモデルのいる映像の中の世界との垣根が無くなるんです。 モデルが視聴者に直接的に語り掛けるんですね。この瞬間、全ての答えが出ます。 「半端じゃない」んですね。この語り掛け手法により、モデルの言葉は圧倒的な説得力を持ちます。 視聴者に「このチーズケーキ、買おう」と思わせるのは、この瞬間です。その後はさっき言った通り、オチです。 モデルは再び映像の世界に戻り、視聴者は再び現実に帰ります。映像は終了し、ただ視聴者の脳裏に残るのは、「このチーズケーキ、買おう」。 その瞬間的な意識だけです。

Q:なるほど、思わず無意識に見入ってしまいましたが、よくよく観てみれば、そんな効果が仕掛けられているんですね。

小野寺氏●ちなみにこのCFの主人公は元塚由佳さんとおっしゃる現役のプロモデルの方です。 キャスティング段階で、敢えて若い女性ではなくセレブ世代の女性を採用させて頂きました。それは何故か。 はっきり言って18やそこらの小娘が“究極”を語っても説得力を持ちません。人生の酸いも甘いも知り尽くした世代だからこそ持ち得る存在感と説得力。 まさにそれがこの作品のキャスティングの要です。そして色。キッチンは純白、シンクは真紅(笑)、・・・駄洒落ですがね。あとケトルも真紅です。 赤と白、この紅白は、売り出したばかりの@パルミの誕生を祝する紅白カラーなんです。 そこに投入するモデルの衣装は黒。黒は女を美しく細く魅せる色でもあり、紅白という派手な色の中で最も目立つ色でもあります。

Q:そこまで考えてらっしゃったんですね。参りました。 私は個人的には、テレビで流れてもおかしくないクオリティの作品だと思いました。これ一本で、どれくらいの製作期間を要しましたか?

小野寺氏●脚本執筆に1日、準備に1日、撮影に1日、編集に1日、音楽制作と音響制作に数日。一週間も掛からなかったですね。 低予算のウェブCFにしては完成度は高いんじゃないかと思ってます。
このように出来る背景には、吉田プロデューサーがクライアントから決定権をもらっていたからなんですね。 現場としては、吉田プロデューサーが脚本の前段階でこれいいぞって言ってくれて進むのでとっても創作や撮影が順調に行くわけです。

Q:なるほど。何だか全ての作品について個々に取材したくなってきました。 シブい「北部警察」シリーズやクールな「TRADE」、ノスタルジックな「日本の夏」なんて私大好きなんです。何かエピソード、お聞きしたいです。

小野寺氏●お気に召して頂いて光栄です。そうは言いますが・・・もうそろそろ時間では?

Q:おや、もうこんな時間ですか。

小野寺氏●残念ですが、また次回ということで(笑)。

Q:う〜む、盛り上がってきたところで終わりの時間になってしまいました。 最後に恒例の「読者の皆様への一言」をお願いします。

小野寺氏●いつも応援して頂き、有難うございます。 オーダームービー・ドットコムの一味違ったシネマ・コマーシャル、次回作も是非ご期待下さい。・・・無難にこんな感じでいいんですかね? もっと長い方が良ければ話しますが。

Q:いえいえ、これで結構です。素晴らしいお話をどうも有難うございました。

小野寺氏●これ、後でうまいこと校正するんですよね?

Q:いえ、しませんよ。 今回の「パーソンtoパーソン」は特別企画ですので、札幌BB史上初のノーカット全文掲載です。

小野寺氏●さすが吉田編集長、大胆な企画を組みますね。

Q:オーダームービー・ドットコムに負けてられませんから(笑)。 これから札幌BBもどんどん面白くなってきますよ。

小野寺氏●人は歩みを止めた時に年老いてゆきます。突っ走りましょう、どこまでも! 笑いながら行こうぜ!

Q:はい! 本日は有難うございました!

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