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映画・テレビ・ゲーム、映像メディアに欠かせないのが音響。
今回は、ゲームの音響監督としてソニー、マイクロソフトを経て、現在は小野寺監督の映画音響監督、
そしてオーダームービー・ドットコムの音響監督を担当している荒木裕子さんにお話を伺いました。
自他共に認める映画やゲーム通である札幌BB編集部員が、
しつこく、しつっこく札幌BB編集長でありオーダームービー・ドットコムのプロデューサーである吉田隊長に頼み込み実現した、念願のオーダームービーのスタッフ・インタビュー!
Q:音響監督になられたきっかけは?
荒木氏●4歳からピアノをはじめ、そのままの流れで音楽高校、音楽大学に進学しました。
けれど、昔はクラシックにあまり興味が無くて、、、中学の頃から洋楽ばかり聴いていました。
マドンナ、イエス、ビリー・ジョエル、ジャーニー、スターシップ、ヴァン・ヘーレン、デイブ・リー・ロス、ガンズ、エアロ等々、
毎週MTVやSonyMusicTVをビデオに録画して、ミュージッククリップを食い入るように繰り返し見てました。
それと同時に、演劇部に参加したり、映画、漫画、アニメ、本も大好きで、子供の頃は毎日それらに囲まれて暮らしているだけで幸せでした。
時代はちょうど80年代。音楽ではシンセサイザーが全面に多用されるようになった時代です。
そういう環境の中、自然とシンセに興味を持ち、大学に入ってすぐにバンドを始め、本格的にシンセを使うようになりました。
それからは技術の進歩に合わせてMacintosh&シーケンサー(当時はPerformer)で作曲、打ち込みを始めたので、
卒業後はそれを継続出来て、沢山の物語にも触れられるゲーム会社のサウンド制作の仕事に就きました。それが音響監督になる第一歩です。
Q:音響監督とは具体的にどんな仕事ですか?
荒木氏● 音響監督と言う役割は、日本ではそれ程、定着していません。
特に映画の場合は監督さんが音響まで監督される事も多いですし、作曲家がその役割を担う場合もあります。
しかし、ハリウッドではサウンド・デザイナーと言って、専任の音響監督を付けるスタイルが一般的です。
実は音響と一言に言っても、沢山の要素があります。
映画に関して言うと、音楽、台詞、効果音が音における3つの大きな要素です。
その3つの要素を映画のイメージを大事にしながらバランスよく表現していく事が音響監督の一番重要な仕事です。
役者の演技に合わせて、録音した台詞生かし、効果音に臨場感を持たせ、見ている者の情緒を音楽で刺激する。
場合によっては効果音や音楽で登場人物の心理を代弁する役割も担います。
そういった総合的な音響演出しながら、目指す音響に対して具体的な指針を出していくのが音響監督の仕事です。
その中には技術的な指針を出したり、外注制作者の方々の制作進行をしたり、既存楽曲の著作権調査、交渉をしたり、
バジェット管理をしたり等々、数々の仕事があります。
ゲームの場合はこれに、ゲームに特化したデータの制作や管理の仕事もあります。
Q:ゲームと映画では音響制作にどんな違いがありますか?
荒木氏● ゲームの一番の特徴は、インタラクティブ性です。
多くのゲームには映画の様にユーザーが見ているだけで自動的にお話が進むムービーパートとユーザーの指示によって進行するゲームパートがあります。
ムービーパートの音響制作は映画の音響製作とさほど大きな違いはありません。
しかし、ゲームパートの場合は、いつどんな時にでもユーザーの要求に応えられる様に、
ゲームに特化したパックデータを作って一つ一つ格納する必要があります。
そのデータを、ゲームハードやゲームソフトの仕様に合わせてベストなクオリティで制作していくというのがゲームの一番の特徴であり、大きな仕事です。
当然、コンピュータの知識、ゲームハードの知識、歴代のゲームソフトの知識を持っていなくてはいけませんし、
プログラマやCGクリエーターとのやりとりも多いですから多少なりともプログラム、CGに関して理解していなくてはなりません。
Q:音響に関する全てをマネージメントするのが音響監督の仕事と言う事ですね。
ご自分で制作される事は無いのですか?
荒木氏● マネージメントがメインではありますが、自分で制作するべき作業も度々発生します。
自分で制作する作業はバジェット、人員、期間等状況に応じて、多様に変化します。
簡単に言うと手が回らない作業は自分でやる、と言う事です。
例えば、音声収録でエンジニアをする事もありますし、演技の指示を出す場合もあります。
また、楽曲を作る事もありますし、ピアニストになったり、ボーカリストになる時もあります。
また、大量の効果音を制作し、MA(楽曲、台詞、効果音を音場に合わせて調整する作業)を自分でやる事も多々あります。
要するに、全体の音響演出を考え、それぞれの状況に合わせて、指示を出したり、自分で制作したりというのが、
私の音響監督としてのスタイルです。
Q:制作される時はどんな機材を使われるんですか?
荒木氏●私の場合は、Windows、Macintoshの両方を使っています。
一番頻繁に使うのは業界の定番と言われるMacintosh&ProToolsの組み合わせです。
10年ほど前までは、アナログ機材がまだ一線で活躍していましたが、現在ではほぼ完全にデジタル機材がメインとなりました。
ProToolsと各種プラグイン(エコー等のエフェクト用追加ソフト)、Mboxというオーディオインターフェースという小さな環境だけでも、
ほとんどの作業する事が出来る様になりました。
しかし、映画の場合は、現場収録やフィールドレコーディングが頻繁にあります。
その場合は、ショットガンマイクと4chハードディスクレコーダーのEdirol R-4を使います。
現場収録やフィールドレコーディングは、機材や環境の事情もあり映像との同期録音が出来ない事があります。
その際は収録後FinalCutProで撮影した映像に音響を手動で同期させます。
淡々としたとても地味な作業ですが、私は撮影した映像を全て確認出来るので結構好きな作業です。
Q:ソニー、マイクロソフトという経緯の中で大変な事はありましたか?
荒木氏●それはそれは、沢山ありました。
ソニーには5年居ましたが、初めの4年はゲームバブル全盛期でした。
その当時はちょうどゲーム業界全体でバブルに浮かれていました。
けれど、最後の頃にはバブルが弾けて斜陽の時代が始まりました。
その時に組織がどうやって身を守るのかを初めて目の当たりにしたように思います。とても勉強になりました。
その後、マイクロソフトに移り、5年在籍したのですが、外資系と言う事もあり、やはり文化の違いを感じました。
また、時代も数字絶対主義に移行していたので、数字が取れない事がこれ程キツイ事だという事も身を持って思い知らされました。
その上、自分にはそれを覆す事が出来ないという自分の現実も十分に知る事が出来ました。
沢山の事を経験させてもらい、沢山の事を考える事が出来た10年だったと思います。
Q:現在はゲーム音響制作から離れていらっしゃるようですが、今後の展望は?
荒木氏●正直言うと、ゲームに飽きてしまって…(笑)
ゲームはファンタジー作品が多いので、それを何度も繰り返し続けていくうちに
「果たして私は何度世界を救ったのだろうか?」と考えてしまって…
でも、現実世界はそんなに簡単じゃありません。
だから、もっと現実世界を描きたいと自然に思うようになりました。
日常生活の裏に潜んでいる、普段は気付かないような辛辣で強烈な現実を丁寧に表現して表舞台に出したいと思っています。
そんな訳で、小野寺監督の映画に参加するようになった訳です。
今は初心に返って、様々な方とのネットワークを深めながら、沢山の事を教えてもらっています。
社会人12年目にして新たな世界が広がり、新鮮な事が多く、とてもワクワクしている最中です。
小さな現実の一片を映像の世界で表現して、それを必要としている人々に誠実に届ける事が今の目標です。頑張ります。

本日は、お忙しいところありがとうございました。
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